問答無用で赤い錠剤をつきつける マトリックス レザレクションズ

2021/12/18

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 12/17 公開のマトリックスレザレクションズ


20年ぶりの"マトリックス"シリーズ新作ということで、公開初日に見てきました。

一言でいうと衝撃的であり、私は、いい意味でのショックを受けつつも、「これは人を選ぶだろうな」とも思いました。
事実、見終わった後、「これは俺が期待してたマトリックスじゃない」と、残念そうに話す人もいましたし、私もその人の意見には賛成です。

ところで、マトリックスの有名なモチーフとして、「赤い錠剤」があります。
ネオは赤い錠剤を飲むことで、自分が生きていた「現実」が機械によって見せられていた仮想世界であり、本当の現実は人間は機械に支配されていたことを知ります。

そのため、赤い錠剤は、「真実を知る」「苦い現実を知る」という意味で言われていますが、実はネオが錠剤を飲んだときのシチュエーションでは若干異なるのです。

ネオを前にしたモーフィアスは2つの錠剤を見せて言います。

You take the blue pill.
The story ends.
You wake up in your bed and believe whatever you want.
You take the red pill.
You stay in Wonderland.
And I show you how deep the rabbit hole goes.


青い錠剤を飲めば…
物語は終わる
お前はベッドで目覚め、自分の信じたいものを信じる
赤い錠剤を飲めば…
お前は不思議の国に行く
そして、ウサギの穴がどれだけ深いかを見せてやる


不思議の国のアリスにたとえているので日本人にはわかりづらいですが、苦い真実ではなく、不思議な、そしてすばらしい何か、という意味です

青い錠剤と対比させると、さらにわかりやすいです。

青い錠剤を飲めば、今までどおりの世界、自分が信じている価値観が続く
赤い錠剤を飲めば、今の世界ではない世界、自分が信じている価値観とは違う世界へ連れて行ってくれる

今回、マトリックスレザレクションズは、観客に赤い錠剤を飲ませました。

ネタバレになるので深くはかけませんが、マトリックスシリーズ成功による商業的な発展、20年の技術的な進歩により陳腐化してしまったマトリックスの世界観など、元々のマトリックスそのもののを否定し、その上でマトリックスを「蘇生」する、そういった試みがなされています。

その世界観に同意できるのであれば、この映画は本当に面白い映画だと思います。

しかし、すべての観客が赤い錠剤を望んでいる訳ではありません。青い錠剤を飲んで楽しい正統的続編を望む観客もいたはずです。

そういった観客にとっては、この映画は許されないものかもしれません。

青い錠剤、赤い錠剤、どちらが正しい選択かはわかりません。

ただ一つ言えることは、映画館では2つの錠剤は出てきません。赤い錠剤を突きつけられるだけです。

さて、あなたは赤い錠剤を飲みますか?それとも・・

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